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撮影 4日目

 

夜の大和郡山 銀座通り

 

 

ふとん、なべ、やかん、洋服。
自転車、マイク、大きな機材。そして金魚。
夕方6時半、大和郡山の銀座通りを、奇怪な隊列が長々と続く。

 

今日は撮影隊、大和郡山の銀座通りにやってきた。
南都銀行の駐車場から、柳町商店街を近鉄郡山駅に向ってぞろぞろと。
左へ折れて、隊列はやがて銀座通りの一角にたどりつく。
 
家を追い出された設定の、リカルドとおかあさん。せりふはポルトガル語。
ポンポンと小気味良いせりふがつづくけれども、意味はわからない。
 
日ごろ上手に日本語を話す彼ら。
そうだ、彼らの母国はブラジルなんだと、改めておもいだす。
 
郡山銀座のはんなりとした、きいろいあかりと
異国情緒たっぷりのポルトガル語。
通学や通勤で見慣れたこの道が、エキゾチックな大和郡山の夜に包まれる。
 
 
せまい道なので監督は、思うとおりの画が撮れないのか、
撮影隊は、銀座通りをあちらへ、こちらへ。
自転車も機材も金魚も、銀座通りをそのたびぞろぞろ動く。
 
交通規制はかけていない。繰り返されるテストと本番のたび、 
通行人も車も止まってもらう。
 
「何やっとるんじゃ、じゃまなんや」
気色ばむ通行人も
「『茜色の約束』クランクイン!」のちらしを渡すと
 
「撮影かいな?そりゃ、ごくろうさん」 (ありがとうございます)
「ほな、わし、映るんかいな?」 (いえ、それはナイです)
「しゃあないな、あっちの道、行くわ」 (もうしわけありません)
 
なんだかんだいっても、人情厚い大和郡山の人たち。
ご迷惑かけてほんとうに申し訳ありません。
どうかお家で、職場で、学校で、宣伝してください。
「郡山で映画、撮っとんねんで。わし、見たで!『茜色の約束』や」
 
商店街の街頭が、スタッフの影を長くのばす。
「大和郡山の夜って、きれいだな」
 
映画を観た、たくさんの人がそう思ってくれるはずの
郡山銀座通り、夜の1シーン。              (文・写真 取田智子)