このエントリーをはてなブックマークに追加
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark

「実はサンバは初めてなんです」
ブラジル人のリカルドとその母マリアのよき理解者、カルロス役を演じた中村獅童さん。目を細めて笑いながら、こう打ち明けてくださいました。
 
カルロスは、ぶっきらぼうだけれども、優しさを隠しきれない役どころ。映画の最大の山場、サンバカーニバルの一行を、強烈なオーラで牽引します。
 
柳町商店街をサンバのリズムで進んでいく、獅童さんの迫力に、集まった地元のみなさんの目は釘付け。ところが冒頭の発言です。歌舞伎の世界での精進が、こんなときに底光りするのでしょうか。
 
当日は大変暑いなか、待ち時間も長く、重い衣装での撮影でしたが、「いや、新しい体験ができて、楽しかったですよ」と心配りの発言も。
 
大和郡山の印象をお尋ねすると「なつかしい感じの場所。今度、プライベートでも来たいですね」リップサービスをしてくださったのだとは思いつつ、いつの日かこの城下町をぶらりと歩く獅童さんが、美しい絵として目に浮かんできました。

(文・取田智子)

 

実は撮影班、今回のために商店街に、交通規制をかけました。休日の柳町商店街はかなりの人と、車が通ります。何も知らされていなかった通行人の方々はびっくり。中には大きな声で、おこりだす男性も。

「勝手なこと、すんな!」と怒鳴られ、ひたすら頭を下げるスタッフ。「映画?いったい、誰が来てるんじゃ!」と尋ねられ、おずおず獅童さんの名を告げると、「中村獅童!?、獅童はんが、来とるんか。そら、しゃないな、獅童はんやったら」

そして「どこにいるんや」と背伸びして、遠くに影を認めると、迂回路を静かに通っていってってくださる、そんな方が複数……。

ご本人は知らぬことながら、獅童さんはこんなところでも、撮影に貢献してくださっていたのです。「茜・撮影秘話」のひとつ。

そんな人気の獅童さん、一目会いたいと噂を聞いて駆けつける、市民の皆さんも多数。演技に支障がでてはいけないので、そこを皆さんにご理解いただくのにスタッフは大わらわでした。

失礼ながら、強面で無口な印象の獅童さん。そんなこんなで、不機嫌におなりではないかと、つい心配してしまう私たち。

しかし最後のシーンまで我慢強く時間を過ごし、演技の回数を重ねるごとに、カルロス像を際立たせてくる様子は、素人の私たちの目にも、さすがと映るものでした。

連日の熱演は夕暮れまで続き、疲れもピークに達した最後の時間。撮影の充実のために、影で声援を送った郡山のみなさんに、獅童さんから特別にメッセージをいただきました。

 

監督の塩崎祥平さんとは、かつて映画の撮影を通じて意気投合した仲。今回の映画では歌声も披露し、監督の初作品を彩ります。